6月の会山行の打ち合わせで7月の三連休を、鋸岳への縦走計画があり直ぐに手を挙げた。 ただし月曜日はダメなので一泊二日の計画でお願いする。 鋸は結構急峻で岩場が続き、ハーネス、ザイル等の装備が要るのかな?と文献知識だ。 そんなチャンスは何が何でも仕事を済ませて参加したい。 日が近づくに連れて天気が気になるが、台風の影響も無く最高の梅雨明け後の快晴で 出かけられそうだ。 期待に胸を膨らませ、ザックパッキンを済ませて明日未明3時の集合に備えた。 だが…眠れないなぁ |
1日目 7/16(土)
6/13 (土) |
多治見 | 瑞浪迎 | 高速にて 仙流荘バス停 |
北沢峠 (2032m) |
双児山 (2649m) |
駒津峰 (2740m) |
甲斐駒ヶ岳 (2967m) |
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(着) | 2:15起床 |
3:00 |
5:30 | 7:05 | 8:57 | 9:57 | 11:43 | ||||||
(発) | 2:30 | 3:20 | 6:15 | 7:20 | 9:02 | 10:03 | 12:15 | ||||||
鎖場 (2645m) |
六合石室 (2560m) |
車行き (高速) |
北沢峠まで (バス) |
甲斐駒 頂上まで |
甲斐駒~ 六合石室 |
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(着) | 13:08 | 13:40 | 2:10 | 0:50 | 4:23 | 1:25 | |||||||
(発) | (3032m) | (2967m) | (2560m) |
朝の弱い自分としては余り熟睡出来ないまま起床時間を迎えた。2:15分だ。 準備しておいたザックを担ぎ車に放り入れると待ち合わせのメンバーの家に迎えに向かう。 車は少なく20分程で合流だ。KN君とKO君を乗せて一路高速を伊那に向かう。 途中駒ヶ根SAで朝食を摂り長谷の仙流荘に着いたのは5:30だ。 着いてびっくり!凄い数の車だ。当然人も多い。バス待ちの長蛇の列は何人くらいだろう? 大人気だ、三連休だしね? 定刻のバス時間では無く朝から臨時便でのピストンを繰り返している様で、僕らの乗ったバスは 既に11便目と言う事だった。いつもはルート案内をするようだがこの日はフルスピードで 南アルプス林道を駆け上がって行く。途中見えた尾勝谷で尺上を多く上げた事を 思い出しながら車窓を眺めていると、真っ青な空に 存在感ある鋸岳の岩稜が大きく現れテンションアップだ。 北沢峠も大勢の人で賑わっている。早々に支度をして甲斐駒に向けて急登を登り始める。 意外に涼しく重い荷物も気にならず、心地よい。 途中木々の間から仙丈ヶ岳、北岳が見え隠れして急登を忘れさせてくれる。 雑木林の九十九折りの登山道を500m程高度を上げるとハイマツ、シャクナゲの低木帯になり 強い日差しを浴びる。直ぐに双児山に到着だ。此処から甲斐駒が姿を現わし更にテンションアップ。 |
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双児山には4組位だったかなぁ?北沢峠の大勢の人たちは何処へ 登っているのか?それでも先の駒津峰への稜線を見上げれば 結構な人の列だ。 甲斐駒、鋸、鳳凰三山、白峰三山、遠くに塩見、仙丈ヶ岳、 周りはアルプスで賑やかだ。 雲の湧き上がる甲斐駒南の稜線は人の手を加えない自然の営みが 素晴らしい。涼しそうな雲の湧き上がりだ。 暫し写真を撮った後、駒津峰に向かい下り、そして登り返す。 時も10時近くになり陽射しもジリジリ射てつく。 しかし不思議と汗も出ず爽やかだ。きっと湿気が無いのだろう。 ハイマツ、シャクナゲの間を縫うように駒津峰のピークを目指すが 途中、可愛らしい高山の花に目を奪われたり、 高度を増す毎に移ろう山々の姿にカメラを向けたり、 こだまする小鳥の囀りに耳を傾けたり… 素晴らしい天気とロケーションに癒されながら ぐんぐん登り詰め 駒津峰に辿り着く。 双児山から一時間弱だった。 |
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戸台バスターミナル | 北沢峠 | ||||
灌木帯~ | 森林限界 | ||||
双児山 | 北岳 | ||||
駒津峰への稜線から鋸岳 | 甲斐駒ヶ岳 | 駒津峰 | |||
駒津峰を後にして列を成す登山者の仲間入りをして甲斐駒頂上を目指す。 天気は最高だ、が、この時期特有の湧き出る雲が遠くの山々の頭を覆い始めた。 ロケーションが少しずつ変化する。これもまたナカナカだ。 甲斐駒ピークに向けての直登の岩場は数珠繋ぎでなかなか前に進まず、南西へのトラバースルートを とりピークを目指す。花崗岩の白い岩と砂利、白い雲と青空のコントラストが素晴らしい。 途中、摩利支天への分岐と黒戸尾根からの登山道との合流地点を見て岩場を登れば 駒ヶ岳神社奥社の鎮座した頂上に到着だ。 「駒ヶ岳」の名を冠する独立した山は全国に18山あるらしいが、 その中ではこの甲斐駒ヶ岳が最高峰である様だ。 この地、伊那谷周辺では、甲斐駒ヶ岳を東駒ヶ岳、木曽駒ヶ岳を西駒ヶ岳と呼ぶらしい。 |
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駒津峰~甲斐駒ヶ岳 | 甲斐駒頂上へトラバースルート | 甲斐駒ヶ岳ピーク制覇だ | |||
頂上は大人気の山だけあって賑やかだ 意外に若い女性も多いのはやはり山ガール人気の ブームなのかな?と思わせる。 此処までは、意外に早く余りキツくなく頂上制覇だが これからの稜線歩きはどんな岩稜が待っているのか 期待で一杯だ。 写真を撮り、少しお腹を満たした所で 鋸に向けて、取り敢えず今日の寝床の六合岩室 目指して雲の湧き上がる稜線を歩き始める。 振り返るが此処からは人の気配は一挙に引き 鳥と風の世界になる。 |
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ハクサンシャクナゲ | ゴゼンタチバナ | ツガザクラ | |||
ミヤマキンバイ | ハクサンイチゲ | ウラジロナナカマド | |||
花崗岩の登山道は、一挙に踏み後も少なくハイマツやシャクナゲの割れ目が路となっており 時々確認しながら先に進む。稜線は一本しかないので間違う事は無いのだが、岩場は時々確認しないと 下降し過ぎたり、岩のピークで身動きとれず後退り…なんて事もありそうだ。 針金の付いたキレットや垂直に下降する鎖場などを経て、意外に早く目的地に到着だ。 この間の稜線歩きは仙丈ヶ岳~北岳、中央アルプスが見えて結構楽しいコースだ。 |
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岩場続きだ | 右は落ちたら最後の切れ場 | 鎖を伝って | |||
鎖場を降りる | 見えたよ今宵の宿 | 石室外壁 | きれいな石室内部 | Mrカメラマン | 夕陽 |
六合石室は何年か前に建て替えられたようで赤いカーペットが張られた居間と、 入り口の土間と丁度半分に仕切られており快適なネグラだ。 単独登山者が二名左右の隅におられ、我々は左側の単独者と一緒にカーペットの半分を使う事とする。 先ずは荷上げた500mlのプレミアムで乾杯し喉を潤す。少し心地よくなった所で シートを敷き取り敢えず仮眠とする。その後10人前後のパーティが前後してくるが、 最初のパーティで一杯となり、 他は水場へ続くルート上の砂場でテント泊に切り替えた様だった。 夕方、一番若いK君に往復20分の水場までお願いし水の確保となる。明るい内に夕食を済ませ、 夕陽の落ちる山々を思う存分写真に収めて明日の鋸岳に向けて眠りに就く。が、なかなか眠れない。 途中星空を見に外へ出て見るが、月が明るく星の光が今一だった。 山の夜はいい!兎に角、いい! 日帰りで景色を楽しむのも良いが、キャンプあっての夜を過ごすのがやはりいい! |
2日目 7/17(日)
6/14 (日) |
六合石室 | 三ッ頭 (2589m) |
熊穴沢ノ頭 (2650m?) |
中ノ川乗越 (2530m) |
第二高点 (2675m) |
鹿窓 大ギャップ |
小ギャップ | ||||||
(着) | 起床3:00 | 5:10 | 6:00 | 6:21 | 7:03 | 8:12 | 8:35 | ||||||
(発) | 4:25 | 6:05 | 7:20 | ||||||||||
第一高点 (2685m) |
角兵衛の コル |
大岩下の 岩小屋 |
戸台川 出合い |
戸台P 登山口 |
伊那 羽広の湯 |
多治見 | |||||||
(着) | 8:47 | 9:30 | 10:45 | 12:22 | 14:40 | 16:00 | 18:30 | ||||||
(発) | 9:10 | 9:40 | 10:50 | 12:30 | 16:30 | ||||||||
車帰り (下道) |
六合石室 ~第二高点 |
第二高点 ~第一高点 |
第一高点 ~戸台川 |
戸台川~ 戸台P |
本日の 歩行 |
第一高点 ~戸台P |
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2:00 | 1:32 | 1:50 | 3:12 | 2:10 | 10:15 | 5:30 | |||||||
ガレ歩き | 河原歩き | 疲れたぁ |
翌朝3時起床で朝食の準備中、 煮え立った鍋の湯を溢してしまい 自分の足の甲にまともに浴びた。 軽度の火傷の症状で それ程痛くも無かったが 後で結構酷くなり病院に行くと 2度の火傷で良く歩けたねぇ… と医者に関心されたのだった。 |
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明けの月と仙丈ヶ岳 | 雲海に浮かぶ中央アルプス | ||||
朝食後、木立の中を少し行くと砂礫の広がる縦走路に出る。 この砂礫帯から赤河原へ七丈ノ滝尾根ルートが分岐している。 此処を下った処が水場になっている。此処からは甲府側をアップダウンを繰り返しながらトラバースし、 時々登り詰めた岩稜から見える伊那側はハングした岩場でかなり切れ落ちており 落ちればひとたまりもないだろう、結構見応えがある。 踏み後としっかり付けられたルート案内のテープに沿って歩けば直ぐに三つ頭(2589m)だ。 朝陽を浴びる山々が闇から浮かび上がる様に映えて綺麗だ。木々も金色に輝いている。命を感じる。 少しこの光景を写真に撮り今回のハイライトルートに向かう。 |
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三ツ頭 | 八ヶ岳 | 甲斐駒ケ岳 | 仙丈ヶ岳 | 北岳 | 空木岳 |
三ツ頭からは目指す第二高点が見える。此処から伊那側は大きく切り立った急峻な絶壁となっており 登山道は甲府側を回り込み、アップダウンを繰り返す。 時々木々の間から朝陽を浴びて雲海に浮かぶ八ヶ岳の連なりがやさしく美しい。 草付きの雑木林を抜ける登山道をトラバースして登り詰めると、熊穴の頭に出る。此処から中の川乗越が 眼下に一望だ。そのガレを登り詰めたピークが第二高点の筈だ。登って行く先行者の姿が見える。 中の川乗越に出るとピークに向けてガレ場を慎重に登るが、結構岩が落ちる。 それでも思ったよりキツク無く気付けば第二高点頂上だ。 素晴らしい天気に恵まれて素晴らしいロケーションだ。それに先行パーティは既に発っており 我々三人だけの独占だ。暫く写真を撮り、お腹を満たす。 第一高点も目の前に見える。そこに立つ登山者と手を振り合い楽しい時を過ごした後 いよいよ第一高点向けて出発だ。今回のメイン核心部のルートだ。少し緊張するなぁ |
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甲府側の登山道 | 熊穴沢右俣 | 第二高点を見る | ガレを行く先行者 | 取り付く | あと少しだ |
≪第二高点からのロケーション≫ | |||||
第二高点にて後ろに第一高点、 |
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八ヶ岳 | 中央アルプスと恵那山 | 乗鞍岳 | 御嶽山 | ||
遠くに槍~穂高 | 第一高点 | 仙丈ヶ岳 | 甲斐駒と北岳 | 大ギャップに人 | |
第二高点を後にすると先ず第一高点方向と正反対の方向への下りとなる。大きく樹林帯を巻く形で 大ギャップのルンゼ、ガレに取り付く。K君二人が先行し、年寄りの自分は安全なルートを見極めたうえで 取り付く事とする(?) 樹林帯の下りは直ぐに終わり大きなガラ沢に取り付くとこの上がメインの大ギャップだ。 途中まで草付きのガレを登るとナメのルンゼのトラバースがある。これは結構いやらしいが慎重に、 その後草付きのジグザグを登ると最高部に鹿窓が見える様になる。此処からはほぼ垂直の一枚岩の直登 になるが、昔はザイルだったらしいが、今は鎖が付いている。それでも結構シビアで、慎重に一人ずつ 安全を確認したうえで登攀にかかる。 途中一か所取り付きを悩み苦労した時、手が滑り一瞬ヒヤっとしたが、 登ってしまえば二人には内緒だ。 鹿窓を無事に潜りぬけると今度は小ギャップが待ち構えていた。 先ずは20mの懸垂下降?此処もしっかりした鎖があり助かるがほぼ垂直なので怖い! 落ちれば間違いなく大怪我だろう 下りの後はV字の垂直登攀になる。これも怖そうなのでプルージックで安全を確保する。 何とか無事に登攀し終わった処で一休み…と思いきや若い二人は目の前の第一高点目指しているではないか 自分のことしか考えない我儘な奴らだ???ナンテネ 第一高点頂上での達成感は格別で、来て良かったぁっと思える。心から感動だ。 ロケーションはしっかり素晴らしいが少し雲が多くなっており第二高点から見た時間の方が 良かったのかもしれない…と思いながらも写真を撮りまくる。この時の為に歩荷した三脚を立てて パノラマを撮る。頂上に居合わせた単独日帰り登山の方にお願いして三人の記念写真を撮って貰い 名残惜しいが此処からの延々と長く続く下山を考えて早々に下山開始だ。 本当に後ろ髪を引かれる思いだ。 |
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大ギャップに取り付きいやらしいルンゼをトラバース、鹿窓に向けて垂直に登攀 | 登り切れば目標が | ||||
小ギャップのV字を下降し直登 | もう直ぐだ! | 達成感一入 | 三雄志 | ||
≪鋸岳からのパノラマ≫ | |||||
甲斐駒~駒津峰~双児山、手前に第一高点、奥に鳳凰三山、北岳~間の岳、遠く塩見岳、右に仙丈ヶ岳 | |||||
中央アルプス、左に空木岳、中央に宝剣、駒ケ岳、雲中の御嶽山 | |||||
乗鞍~焼岳~穂高の山並み | |||||
ピークからは伊那側に切れ落ちた岩場を先ずは下るが、此処も落ちれば ひとたまりも無い所だ。それにルートは意外に細い!慎重に下る。 角兵衛沢のコルは直ぐで丁度良いテラスを見つけて休んでいると 単独登山者が登って来る、聞けば今から六合までだと云う。 時間的には問題無いが、これから下山する5時間の道のりを 登って来たくないないなぁ と感心してしまう。自分だったら6時間以上かかるのでは?と思う。 単調なガレの下りを足を滑らせない様に気を使いながらひたすら下り 嫌気が注した頃に角兵衛の大岩小屋に着く。先行の10人位の パーティが休んでいて、岩場から流れ落ちる水場を空けて貰い 美味しい水に在りつく。とても美味しい水だ |
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落ちたら最後だ | 戸台川が見えるのに… | 大岩小屋、奥に美味しい水が湧く | |||
岩小屋を後にして下山を再開するが、ガレの次は灌木の中の下りで 指先に負担がかかる。結構飽きる。角兵衛のコルからもう3時間近く 延々と歩いているが未だ川の音は聞こえない。 長いなぁ… 本当にもうどうとでもなれ!と自棄になりかけた頃にようやく戸台川の 河原に到着だ。靴を脱ぎ川を渡り暫くタオルを濡らして身体を冷やす これが最高に気持ち良い! 生き返った足腰と気分を維持しながら今度は長~い灼熱の河原歩きだ。 幾つかの堰堤を越しながら途中湧水で喉を潤しながら2時間余りの 歩行で戸台登山口Pに到着だ。 兎に角、暑い!死にそうだ。 此処から林道歩きで戸台大橋に向かう。 |
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灌木の中をひたすら | 飽きた頃に戸台河原 | ||||
ちめたいなぁ | 延々と歩く | ||||
戸台河原から見上げる鋸? | 撫子の花が鮮やかだ | やっとの思いで辿りついた戸台登山口 | |||
途中の黒川沿いの橋本山荘前で、通りかかったドライブ中の若いファミリーに 仙流荘まで乗せて貰えないかと図々しくお願いすると、OKで、 K君二人を残しザックもおいて空身で乗せて貰い車を取りに行く。 本当に感謝だ。 小学校低学年位の子供連れで、僕の事を不思議そうにジロジロ観察するので話しかけるが 人見知りするのか返事は無い。伊那在住の方で、昔伊那に住んで居た事などを話しながら仙流荘到着だ。 お礼を言って別れ、車を走らせ来た道を戻る。 二人を拾い伊那の羽広ノ湯で二日間の汗を流し高速で帰路に就く。 風呂で足が痛いので見ると結構やけどが酷くなっていた。が病院へ行く事も無いかな? そう思って帰って来ました。 少しリスクのある岩場もあり、稜線歩きはロケーションも良く、天気も最高で、楽しい思い出に残る 山行になりました。 PC… (火傷は後から来るので要注意!水曜日の朝腫れて皮がむけて痛くて病院に行くと、2度の火傷で 全治1カ月と云う事だった。意外に治らず長引くので早い処置が必要です(兎に角冷やす事らしい) 戸台川で冷やしたのは良かったが、温泉で暑いお湯に浸かって水膨れが酷くなったようだ 皆さん、気をつけましょう) |
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