中央アルプス 三ノ沢・沢登(三ノ沢岳登頂) 三ノ沢岳(2846.5m) |
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2010.7/24(土)〜25(日)1泊2日 | 山岳会 3名 |
7/24 | 多治見 電車 |
瑞浪(合流) | 上松駅 タクシー |
砂防堰堤公園 | 敬神ノ滝小屋 | 滑川入川 地点 |
滑川分岐 二ノ沢(右俣) |
滑川分岐 三ノ沢(右俣) |
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(着) | 6:15 | 7:37 | 8:04 | 8:22 | 8:55 | 9:46 | 11:21 | ||||||||
(発) | 6:04 | 6:16 | 7:50 | 8:10 | 9:16 | ロス0:30 | |||||||||
五連の滝 F1〜F4 |
F5 右岸高巻き |
休憩 | 三俣F6への 入口(休憩) |
F6手前の 2つの滝 |
F6 ザイル使用 |
F7右岸 F8直登 |
二俣左岸 テラス幕営 |
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(着) | 12:54 | 13:20 | 15:25 | 15:55 | 16:15 | 17:21 | 18:45 | ||||||||
(発) | 13:19 | 14:21 | 14:32 | 15:45 | 16:12 | 17:20 | 17:55 | 翌日6:30 | |||||||
7/25 | 二連 ナメ滝 |
枯れ谷直登 |
スヤマ尾根 テラス |
三ノ沢岳 頂上 |
ロープウエイ 乗り場 |
バス乗り場 | 駐車場 | 多治見 | |||||||
(着) | 6:32 | 7:12 | 8:39 | 9:15 | 12:45 | 13:40 | 14:23 | 17:00 | |||||||
(発) | 7:12 | 10:10 | 13:30 | 直ぐ | 温泉経由 | ||||||||||
F1〜F4 | F5高巻 ザイル懸垂下降 |
F6 | F7 | F8 | ゲート〜テン場 | テン場〜山頂 | |||||||||
所要時間 | 0:25 | 1:00 | 1:05 | 0:23 | 0:11 | 10:35 | 2:45 |
本格的な沢登への遡行は今回が初めてで緊張する 山岳会の7月の会山行である。 12年前に単独沢遡行で遭難し亡くなったKさんの法要も兼ねて、山登り組と沢登り組とに別れ、日曜日10時半を山頂での 合流時間に設定し それぞれの計画で追悼山行を実行に移した。 我々沢組は不安な僕とヤングK君、リーダーはベテランTサンで実行隊長はこれまたベテランのK君だ。 いよいよ期待と不安の沢登りの始まりだ。 どうか無事に行けますように…そして帰って来れますように… 祈るばかりだ。 |
7/24 (土)
前々からのリーダーの計画通り電車で現地へ向かう事となる。 自宅から妻に送って貰い、多治見を6:04発松本行きの電車の一両目に乗り込む。 結構ザックを担いだ中高年のハイカーが多いのにびっくりする。 瑞浪6:16分瑞浪からの三名と合流し上松駅に向かう。列車は各駅停車の松本行きだが中津からは前2両だけとなり、 部活の学生なのか結構込み合う。 こんな光景を5年ほど前にも見た気がしたが記憶は鮮明で、長野の善光寺まで行ったときと同じ電車だ。 あの時は善光寺と松本城へ独りで訪ね門前おやきを微妙に寂しく食べた旅だった。 上松駅へ降り立つとタクシーは一台も無く寂れた駅の風景だったが、電話して直ぐに呼び滑川沿いの林道を 砂防堰堤公園まで運んで貰う。\2650(御岳タクシー)でした。 早々準備をしてゲートの脇を通り、タラの芽採りや釣りで何度か訪れた林道を歩き、 敬神の滝小屋〜林道最終の堰堤で沢登りの装備を身に付け沢を遡行する。 |
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上松駅風景 | 滑川沿いの林道 | 沢の装備を身に付ける |
渓相は素晴らしく岩魚が居ない筈は無いのだが未だ釣れた事が無い。荒谷で棲めないのだろうか? 他に訳があるのだろうか? そんな事を話しながら涼しい風を受けながら遡行していると三ノ沢と思われる沢が 左岸から流れ込んでおり入るが20分程登って間違いに気付き引き返す。 二ノ沢へ入ってしまったようだ。30分程ロスをして本流を遡行途中リーダーのTサンが調子悪くリタイヤとなり 共同装備のツエルトとコッフェルを譲り受け別れた。 少し足腰が弱くなってきたのだろうか?心配だ。 この辺りから木曾駒ケ岳〜中岳〜宝剣岳が見え始める。 その後一時間ほどの遡行で明確な二俣となり右俣へ向かうが、時間は計画より2時間近く遅れており 先を急ぐ。 左岸に二本ほど沢を見送ると今沢の最初の核心部である五連続の滝の一つ目、3mが見えて来る。 飛沫をワザと浴びながら軽快に登渉するが身も心も気持ちが良い。 その後直ぐにF2からF5まで一気に目の前に迫ってくるが、なかなかの迫力で沢登りらしく楽しい気持ちに させられる。F2からF4迄は難無く直登でクリアするが、F5は無理で少し手前の右岸から高巻く。 結構シビアな巻きでF5の上にもう一つ滝があり、その上部へエイト環を使い10m程の垂直下降で降りる。 ここでひと休みしたが此処の巻きで意外に時間を取られた。 |
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明確な二俣を右に | F1が見えて来る 直登 | F2〜F4は直登 F5は右岸より高巻き |
F5は手前右岸を高巻く | F5の上の小滝の頭へ懸垂下降 | ひと休みだぁ |
此処までで計画時間を大幅オーバーでテン場の心配がチラチラ頭をかすめるが、F6手前の二俣までは 何とかクリアしないと明日が厳しいので先を急ぐ。 ゴーロを延々一時間ほど遡行すると右岸から急峻な滝が2本ほど落ち込んでいる。 本沢には大きな岩が続けて2つ構えておりその脇をすり抜けてゴーロを更に登る。 やがて2〜3の落ち込みを駈け上がると明確な二俣に出るが、よく見ると中央にも沢が 落ち込んで来ている。三俣だ。 いよいよ此処から核心の大滝になる。資料によるとF6〜F8をクリアするのに3時間かかっているが 今、既に4時近い…どうするか悩むが今の天候なら7時までは大丈夫だろう、と云う事で F6に取り付いた。 手前の三っつのナメ滝を越していよいよ本チャンF6に取り掛かるがどう見ても我々には直登は 無理と判断し安全第一で左岸の岩場をハーケンを二本打ち込みリーダーK君の努力の末 全員無事にクリアする事が出来た。此処だけで1時間だ。 |
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F6手前のナメ滝がKさん発見の現場だと云う。 三人で手を合わせ祈るが、推測では判断できないがF6の頭から ナメの下まで転げ落ちた可能性はあるかもしれない… 左の写真では隠れて見えないが、写真右下の落込みから右手が スラブ状の一枚岩になっており、その更に右手にトイ状の窪みが 頭まで続いており、リーダーはその窪みをハーケン二本で 確保しながら滝頭に立った。 なかなか厳しい登渉だ。 その後のF7は手前は直登でその後は右岸の草付き岩場を登るが これが結構いやらしい。 F8はシャワーを浴びながら直登しこの時点で六時ちょい前で 何とか明るいうちにテン場へ着けそうなメドがつき一安心だ。 あとは駆け上がりを40分程登り詰めた所で次の二俣に辿り着き 右を見上げると絶好のテン場らしきテラスが見え登ってみれば 素晴らしく平らな良い土地だった。早々ツエルトの準備をするが 別れたTさんから譲り受けたものはタープだけで仕方なく2人用の ツエルト1つに三人丸まって床に就いた。 |
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F6〜20m | ||
F7〜10m | F8〜20m | 駆け上がりをどんどん急ぐ |
ツエルトを張ると直ぐに闇が訪れ、早々にザックに忍ばせたワインで乾杯し カップラーメンその他でお腹を満たし、ぶつかり合うようにしてシュラフに潜り込んだ。 なかなか眠れずにうとうとしていると深夜0時頃だろうか、なんとなく聞こえて来る女性同士の会話に はっきり目が覚めてしまい外へ出て見ると月夜なのかトイ面の岩肌が煌々と輝き空は晴れ、 星は空が狭いかのごとく競って輝き美しい光景が目に焼けついてきた。それにしても3度程聞こえた 女性の声は何だったのだろう?このテラスの直ぐ上が頂上で、誰かテントでも張っているのかしら? 後から思えば不気味な話だがその時は何とも思わず出て来て話でもしようよ…位に思っていた。 |
7/25 (日)
朝は4:30に目覚め、快晴の天気に昨日の疲れを忘れて朝から たらふくのエネルギーを補給し、出掛けた頃は 6:30になっていた。 頂上でロープウエイ組との合流予定の10時には何とか間に合う 時間だ。 朝一番の取り付きは二俣の右で、中央に沢が流れている滑りの多い 岩滝でリーダーが安全のためザイルを降ろしてくれ、楽々クリアだ。 その後も結構しょっぱい岩場を背後に見える御嶽山に励まされながら クリアして草付きの斜面に出る。此処で靴を登山靴に履き替えるが 僕は頭上の岩場の連続をみてそのまま沢足袋で登った。 |
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朝焼けの空と一晩の館 | |||
ヌメヌメの岩滝 | 結構シビアだ | 御嶽の雄姿 | |
ガレあり岩場ありで落石に気を付けながら登り詰めるとやがてルンゼが終わり スヤマ尾根の小スペースに出た。 此処からはハイ松帯になり、合間にハクサンシャクナゲが花開いている。 見上げれば三ノ沢岳の岩柱が所々見え頂上が近い事を感じさせる。 ハイ松を掻き分け登り詰めると時間より早く頂上に到着だ。9:20分だった。 10分程先に到着したロープウエイ組と旨い具合に時間のロスなく合流だ。 この時の安堵感はきっと一生忘れないだろう。 この時、今回の沢登りでこんなに落ち着いて休憩が取れたのはこの頂上が始めての様な気がしていた。 |
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ガレが続く | ハクサンシャクナゲ | 頂上だぁ〜 | |
今回の会山行の大きな目的であるKさんの法要を線香を焚いて行い三ノ沢岳を後にしたのは 10:00を少し回った時間でかなり早い行動となった。 途中お花畑を満喫しながら、さほどの疲れも感じず快適に宝剣岳の分岐まで来ると 駒ヶ根側は雲が登り上がって景色は無いが今までの暑さを和らげてくれる。 後は極楽平から千畳敷へ下山し、気を使って早くに下山してロープウエイのチケットを 確保してくれていたTさんに感謝し駒ヶ根温泉でお風呂で汗を流して 帰ってきました。 |
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木曾駒ヶ岳〜中岳〜宝剣岳 | 振り返れば三ノ沢岳 | 雲を纏う宝剣岳 | |
今回の山行は始めての本格的な沢登りにチャレンジしたくて… 不安な自分に、皆、意外と簡単そうな事を云って背中を押してくれたのだが、 終わって思う事は 決してそんなに簡単では無く結構リスクの大きい岩場もあり、正直『恐怖』を覚えた個所が 何カ所かあった。 それでもリーダーを信じメンバーで助け合い、自分を信じ、 決して慌てず確実な手掛かりを探して行動で来た事が登頂の成功につながったのだろう。 メンバーに感謝します。 そうして頂上で我々を暖かく迎えてくれた会メンバーに感謝します。 それときっと見守ってくれていただろうKさんに… 安らかに眠って下さい
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