白馬岳〜杓子岳〜鑓ヶ岳 (2932.2) (2812) (2903.1)

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2008.10/1(水)〜3(金)(2泊3日)  単独登山(ザック=20.2kg)   テント泊  前夜車中泊 

1日 猿倉荘   白馬尻小屋   雪渓入口   葱平   避難小屋跡   村営頂上宿舎
テン場
  白馬岳
頂上
  テン場
(着) (前夜)7:30 7:30 8:00 9:20 11:30 12:13 13:55 14:50 
(発) 6:40 7:40 8:00 9:40 11:40 13:23 14:25  (翌朝)5:10
2日 丸山山頂   テン場    杓子岳頂上   鑓ヶ岳頂上   鑓温泉分岐   大出原   鑓温泉  
(着) 5:15 6:05 9:10 10:40 11:15  11:40 13:15
(発) 6:00 7:50 9:50 11:00 11:15  12:40 (翌朝)7:40
3日 小日向コル   猿倉荘   小日向の湯   自宅     登り 縦走 下り
(着) 9:00 10:23 11:40 18:00 5:30   4:25   3:15 
(発) 9:15 11:30 12:30 (休)0:40   (休)1:40   (休)0:15 

前日車中泊〜1日目のち

前日、多治見を出て夕方7:30に猿倉荘の駐車場に到着。台風の行方を気にしながらの山行だが途中の買い物の頃は
とりあえず雨は大丈夫そうだ。早速ベットを用意して夕食のつまみを出し何時ものようにビールとワインで独り宴会である。
初めての単独テント縦走に不安と期待が入交り興奮気味である。10:30には寝てしまい翌朝5:00に起きるが…
最悪の天気!雨だ! 出掛けるか止めるか思案していると6:20のニュースで
『台風は太平洋を東へ、本日は午後から晴れて暑く夏でしょう』の一言で決心し20kgのザックを背負って
計画書を提出して小雨降る中、頂上での快晴を信じて出発である。

今年の8/19の遭難事故の捜索リーフレットが不安を掻き立てるが登山道を歩くに連れ、深い緑と川の流れに身を鎮める自分が
期待感を盛り上げてくれた。白馬尻入口には国土地理院の車が2台止まっていた。間もなく白馬尻に到着しトイレを拝借して
早々に雪渓へ足を進める。意外にザックの重みを忘れている。
何時もの宴会だぁ 高級ワイン? お手の物のベッド 出掛けの猿倉荘 公園石碑 帰りの出口?
登山道林道 賑やかな枯れ木 岩魚? 登山道  見えたぁ  白馬尻小屋
ケルンの後ろから雪渓は始まるが
この時期は立ち入り禁止の表示があり
もう少し後方から歩き始める。
迷わないよう石に巻かれた
赤いテープの案内の心使いに感謝
前方は霧で何も見えず慎重に慎重に
油断しないよう自分に言い聞かせて歩く
途中の大岩のあたりの斜度が上った
辺りからアイゼンを付けて慎重に…
 
 
だぁれも居ない雪渓を独りで歩く…
時折聞こえてくる小鳥の囀りと小川の
流れる音…
それに交って聞こえる不気味な音…
ガラガラッ…ガラガラ
本当に誰も居ないのだろうか
少なくとも今まで人に会って居ない
白馬尻では自分が最初の登山者だった
誰も居ない登山道をひたすら登る。葱平まででアイゼンを外し依然ガスった中をジグザグに登る。やがて現れた岩が転がる
沢を赤い目印の辺りで横切るが、少し早足になり勇気が居る。此処で崖崩れに会えばひとたまりもないだろう。
急速に流れる雲の間から瞬間、天狗菱の岩頭が現れる。
高山の岩稜らしく白い岩と緑のハイマツのコントラストに感動する。
途中イワヒバリも出迎えてくれた。やがて天気予報通り雲が流れ青空が広がり頂上宿舎は目の前だ。

宿舎が見える頃に初めて下山者2組に会い今日の第一声を交わす。
一組はまだ測量中だが3人を残して一足先に下山する国土地理院の方だった。
ちらっと天狗菱 雲の下の下界 イワヒバリ  安全工事  急速に雲が流れる  森林管理局 
村営頂上宿舎でテント受付を済ませた頃には雲は広がっているものの青空が迎えてくれる。しかし風は半端じゃない。
何度も吹き飛ばされそうになるのを抑えて設営し昼食を摂る。ちょうどお昼だ。今回は初めての単独縦走なので
ゆったりと計画を立ててあるため、後は頂上で遊ぶだけだ。頂上はテン場から30分かけて登った。休んだ精か足が重い。
頂上では国土地理院の方が作業中で三角点の設置状況の確認と修正をしているそうだ。頂上は雲に覆われ暫く待つが晴れず。
テン場に戻り初めてのアルプスでのテント泊を満喫するが、風が強く落ち着かない。歩荷してきたビールとワインで風と戦う。
結局一晩中うつらうつらで朝を迎えることになるが、テントは独りだけであった。誰も居ないテン場を経験…
 
旭岳  白馬山荘  松沢貞逸 白馬村 三角点 テン場
           
この一時が大好きなんです。今この自然の真っ只中に、確かに自分の身がある。

風が強かろうが…雨が降ろうが…満天の星空なら格別だが

どうあれ どんな形であれ 自然と関わり今の自分がそこに居る 

それが 大好きで うれしい
 

2日目テン場すぐ上の丸山(2768)からの御来光

5:30 5:42 5:45 5:50  5:56 7:59
         

小屋番の方に日の出時間を確認していたので、四時半に目を覚まし、シュラフ関係
のみ片付けて水で喉を潤し、三脚片手に丸山に向かった。
寒い!フリース、ジャケット、手袋だが寒い……5:15から三脚を立てて白馬岳
横の果てし無く続く雲海の方向に水平にセットし、神のお出ましを待つ。
徐々に明るくなり、山々の荒々しさが確認出来るようになるとその自然の営みの
神々しさ、美しさ…生きる息吹を与えてくれる。本当に今此処に居て良かった

幸せを独り占めだ

   
 
           
約1時間の生命の営みを見、感じ、テン場に戻った頃には既に一時間が過ぎており
6時を過ぎていた。今日の行程は杓子平と鑓ヶ岳の縦走で、時間のゆとりは十分あり
鑓温泉のテン場にはゆっくり遊びながらでも15時までには十分だ。
冷え切った身体に、パンとスープで英気を入れ、豆挽きコーヒーを沸かし、
贅沢な時間を思いっきり満喫した頃には、日も上がりテントの影が出来る頃
早く出てオイデ…と暖かな日差しが誘ってくれる。
誘いに身を任せて一気にテン場の撤収を終え、ザックを担いだ頃は7:30を
過ぎていた。
何とも言えない心地よさが、昨日の疲れなど全てを忘れさせてくれていた
           
丸山へ登り返し杓子岳に向かうが、丸山からの360度のパノラマがあまりに美しく…30分程夢中で写真を摂る
どれが何で、何が何で…、?地図を出し確かめるが良く解らない、が、感動の景色であることには間違いない
下記の山の名前?間違っていたら御免なさい。全て丸山岳からですよ。
 行く手の山  立山 毛勝三山  針ヶ岳  旭山  白馬岳方面
           
丸山ではすっかりロケーションにのめり込んでしまい、360度の写真をデジカメで
撮りまくり、剣の美しさと毛勝三山の下の黒部峡谷を覗き見しながら、黒部の廊下を
歩いて居る自分を想像しながら…疲れも感じず軽快に目の前の杓子岳に向けて
ザックを担いだ。

歩きだして後ろを振り返るが…誰も居ない?見える限り前方の
杓子にも鑓方面にも人影は見当たらない。
もしかしてこの泣けるような、晴れた青空の下、この稜線?山々を独り占め?
テン場は寂しかったが、こんな天気の一人歩きは…凄く自慢げだ、
自慢したくなっちゃうなぁ

独り占めの稜線歩きをルンルン気分で歩き、杓子岳の頂上に立った。
 
独り占めした杓子への稜線
           
頂上へは、陽もすっかり昇り丁度良い体感気温でで爽やかな風を感じる頃、
9時過ぎに到着だ。此処からのパノラマも素晴らしい。

兎に角、本格的なアルプス登山は初めてだ。見る事…感じる事…全て書き留めたい位
感動の連続で楽しい。
ここからのロケーションは少し怖さを覚える安曇野側の岩場が荒々しく印象的である
暖かいスープとクッキーで小腹を満たした後、一人の時を寝転んだりして楽しみ
鑓への岩場の稜線を下った。

『彩かな風に誘われて 私はタンポポの羽になる
すべては風が 知っている すべては風に委ねよう…
』 学生時代に好きだったフレーズ 
 
杓子岳頂上(2812) 
           
 
白馬岳の切り立った断崖 杓子より真下は絶壁(杓子平と大雪渓)  小蓮華岳〜白馬大池方面
           
杓子岳から鑓ヶ岳へは下ってから一気に
瓦礫の道をジグザグに登れば直ぐ其処だ。
9月下旬に積もった雪の名残が溶けずに
あった。厳冬の季節はもうすぐそこだ。
鑓ヶ岳登頂10:40…
NHK小さな旅のロケスタッフが3人で登頂
しており、鑓温泉の解体作業のロケの中日で
登ってきたらしい。
登山者の登る役を頼まれまた来た道を少し
下って登り返した。後日、放送を見たが結局
カットされていたようだ。
 
杓子岳から鑓ヶ岳への稜線 振り返って見えた美しい杓子岳
鑓ヶ岳からのパノラマも素晴らしく、新たに南方のロケーションがしっかり見える
以前冬の訪れの前の10月に登った黒菱辺りもしっかり見える。あの向こうに八方尾根スキー場があるんだ。
その先の唐松岳、鹿島鑓ヶ岳方面は雲海の上の世界だ。
来て良かった。雨の中予報を信じて登って良かった。本当に良かった。
それもほとんど独り占めだ!
 
           
 頂上に立つ  旭岳 白馬〜小蓮華  天狗の頭  剣岳 白い石の鑓ヶ岳
           
11時になりパノラマ写真を納めた所で、ロケの人達と『また後で』と別れ、鑓ヶ岳を後にした。鑓温泉へは余裕の到着だと
思うので、この好天気の空を満喫しながらゆっくり下山する事にした
15分ほどで天狗山荘方面との分岐となり、ここからはどんどんと目の前に見える大出原に向けてジグザグに下る。
下るに従ってめまぐるしく景色は変化する。白い岩から茶色の岩に… ハイマツの緑から紅葉がかった草花に…
やがて大出原に着くとその紅葉の始まりは見事だった。鑓から40しか経っていないが、ここで昼食とする
このロケーションを独り占めしながらの昼食は格別だ。感謝である。
           
一時間ほどゆっくりしただろうか

本当に泣けるような青い空
草花は短い秋を惜しむかのように
赤や黄色に彩を染めて競い合っている
やがてまい落ちる白い花に負けない様
辺り一面を覆い尽くそうと…

やがて白い霧が立ち込め始め
辺りは一層秋を深めた
           
立ち上がりザックを担ぎ歩き始める。稜線歩きとはまた違った楽しさがある

草原の開かれた世界からナナカマド等の木々の間を道は伸びていて
ぐっと狭い道幅になる。やがて岩場、鎖場が続き解体された資材にかけられた
ブルーシートが目に飛び込んできた。鑓温泉小屋だ。
ここにも大きな雪渓が残っていた
           
解体された資材はシートに包まれて雪の中で次のシーズンを待つものと
ヘリで運ばれ下界で保存されるものとに分けられていた。10人ほどの職人さんが
金づちやらのこぎりやらで作業を行っている。
営業終了の為、テン場はご自由に…水は此処の水道からどうぞ…と言われ無料だ
考えてみれば今回の登山中は白馬のテント代500円のみだ!
早々テントを設営し露天に向かったのは、まだ三時…早すぎる…
作業をする人たちに挨拶し、お構いなしに露天温泉、独り占めだぁ〜
もう最高!
出たり入ったりでつっくりしている間にもう四時過ぎだ
テントに戻りビアー
持ってきて良かった。小屋は営業終了でビールの販売は無かった。
 
木の葉を舞い上がらせ資材を運ぶ
           
 
テン場から見える烏帽子岩  独り占めした露天温泉 テントの中から戸隠方面 
           
テン場から見える小蓮華方面を照らす日が落ちる頃、辺りは徐々に暗闇の世界に…
今日の作業を終えた人達は露天で賑やかに疲れを癒している。ビールとワインですっかり良い心地の気分で
迫りくる夜の星たちを想像しながら、天を仰ぐ。 
この後皆は食事となり、その機会を狙ってまた独り占めの露天を楽しむ。
テントの近くに何やら動物がいるようでガサガサうごめいている。
翌朝分かったのだが、アライグマが登山者の食べ物を狙って出没しているらしい。
ひょうきんな訪問者だ。
その夜満天の星空を眺め、最高の一時を過ごした。テントの中で寝るのは勿体ない様な星空だ
暫く外で横になるが、やがてどうしようもなく訪れた眠気に負けて、シュラフに潜り込んだ。
           

3日目

翌朝5:00に目を覚まし日の出を待つ
ロケの人達もカメラを回しながら待っていた
日の出5:45分 

感動の世界だ
全ての営みに命を吹き込むこの瞬間が
大好きだ

感謝とオネダリをして
手を合わせた
 
御来光は何処で何度見ても 感動      思い出の小日向の湯  

この後、慌てる事も無くゆっくり時を過ごし、作業の人達に挨拶をして、下山開始はもう八時近くになっていた。

今日も快晴だ。この三日間素晴らしい天気で、出足の雨で中止しなかった事に改めて良かった…と思った
軽快に下山を進め途中沢を渡ったり、危険なガレ地帯を回避し、急登を余儀なくされたりしたが、小日向コルには9時着。

ここからはずっと灌木帯の下山道が続き、途中2組の登山者に出会った。猿倉へは10時半、何度か訪れた小日向の湯で
疲れを拭い、始めての単独テント泊の大成功の御褒美に、蕎麦神で贅沢に天ざる蕎麦を食べて帰りました
大好きな山麓線で松本へ出て、感動を思い浮かべながら19号で無事家へ

今回は、本当にありがとう。始めての世界の経験に喜びも一入でした。と山の神に感謝、感謝。
 
 
           

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