KZR川・幻の滝壺  ホームへ戻る 
源流の風に誘われて 目次へ戻る
       
  2008.7/19(土)〜20(日)    友人名   前車中泊  テント泊
 
18〜19日 18日 瑞浪    境川桂湖湖畔    旧KZR集落   ゴルジュ入口    二段の滝(幻の滝) 
(着) 22:00 5:30 7:30 15:30
(発) 19:00 翌朝5:00 5:40 7:40  翌朝 9:00 
20日 旧KZR集落    瑞浪
(着) 14:30 18:00
(発) 14:50

源流釣りテント泊初心者の兄貴と、従兄の三君の三人で、魚止めの滝?KZRの幻の滝を目的に出掛けた
半分釣り、ほぼ大きな目的は、大自然の中での大宴会である

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前日宴会(2008.7/18) 

KZR村へ続く桂湖湖畔の橋手前に着いたのは、瑞浪の三君の家を出発してほぼ3時間だった。
季節がら手前のキャンプ場は、ちらほらテントの灯が湖面を照らしている。ちょっとした駐車うペースには車は無い。
が、ここからKZRの入り口まではまだ一山越さなければならない。今日の泊まりを此処に選んだのは、
アスファルトである事、開けていて虫が来ない事、万が一KZR方面へ先取りされそうになっても
此処を通るので気づき追いかけられる事…な等だ。ここならテントも快適だ。
そんな訳で、早速宴会の準備にとりかかる。
           
今回の釣行は、源流釣りは初めてという
兄を連れて、兄には日頃大変お世話になっている分、思う存分英気を養って貰おうと、同じ長男同士で、気苦労の面で気の合う従兄の三君と、三人で出掛けた。

昔の見た事の無い湖底に沈む、桂集落の面影を語らいながら、何時しか明日の釣果の期待話に花を咲かせて、心地よく眠りに就いたのは既に翌日になっていた。

鹿の鳴き声が聞こえる。
 
快適なテン場、この奥に大畠谷がある 落ちるなよ!桂橋にて
           
その昔、桂湖があった場所には「桂」という集落がありました。
冬は3mを超す雪に「陸の孤島」と化すわずか6軒の合掌造りの集落で人々は互いに助け合い、ひそやかに、
そして明るく元気に暮らしていました。しかし、相次ぐ村人の病気や怪我による離村で、
昭和45年、桂集落は廃村となってしまいました。人々が桂を去ったその後、
境川ダムの建設により桂集落はダムの底に沈んでしまいました。
かつての思い出はこの静かな水の底に眠っています。
           
桂よ さよなら 

あけび ぶどう

くるみ なめこ
 
さよなら 桂よ」
 
黒板 在りし日の桂村の集落    
           
西赤尾小学校桂分校の黒板には桂の思い出が詰まったメッセージが書かれていました。
桂の歴史に思いを馳せながら湖を眺めると、また違った景色に見えてくるかもしれません。
  
           

1日目(2008.7/19) 

KZR集落林道駐車場 交渉後歩き始める 砂利の川伝いに
           

昨夜の酒も抜け切らない内に目が覚め、釣りの準備をしていると、一台の車が通り過ぎて我らの目的地方面に先を越して行った。
こりゃいかん…と、早々に追いかけ、
廃村になった加須良村の林道最終地点まで追いかけた。此処で話し合い、穏やかに先を譲って貰い源流目指して歩きだした。


KZR村は雪深いところで境川が開発されるまでは閉ざされた合掌作りの村だったらしい。
昭和42年に残っていた8戸の人達が全て離村し
数百年の村の歴史にピリオドが打たれた。
離村の頃の秘境の村の生活を紹介した番組『新日本紀行』の再放送で以前見たが、とてつもなく辺境の地であり、
生活の知恵もあるが、苦難の方がはるかに多く大変な生活ぶりだったのを見た覚えがある。


此処へは既に四度目の釣行となるが、まずはザックを担いで一時間余りの沢歩きになる。
ゴーロの遡行で意外に楽だが距離がある。

           

やがて川幅は狭まり渓谷の様相を
見せ始めるが4km強歩いた所で
右岸に注ぎ込む支流があり開けた
絶好のテン場があり、
熾をくべた跡が沢山残っていた。

 この辺りから釣り始める事とし、
兄が一匹釣るまでは竿は出さないと
約束していた手前、ウズウズする気持ちを
抑えて見守っていた。

三君は兄に気を使いながら、
後ろからの竿出しで、
全ては兄貴中心だった。

あのポイント…よさそう この奥からゴルジュが始まる
           

最初に反り立った岩肌のちょっとした落ち込みで兄の竿が撓った。見れば尺オーバーに近そうな初モノだ!
ギコチナイ竿さばきに苛立ちを感じながらも手を出さずにじっと見守る。三君も同じ目で見ている。
切れる筈の無い糸である事を、知ってか知らずか僕も三君も
 『抜いて!抜いて!陸に放り上げろ!』
そう叫ぶや否や、竿の撓りはピーンと空を切り真っ直ぐな一本の棒になった。

外れた?切れた?どうした?

どうやら針の結び目が弱く針ごと持って行かれた様だ。

悔しがる兄貴と、残念がる僕と三君… その後暫く当りも無く陽の当る岩場で朝飯とした。

           
兄貴の一匹は残念だったが
朝飯の後気を
取り直して釣り登る。
が、たいした釣果
も無く沢登りを楽しむ
既にビールの缶は開けられていた  何だろう枝の分かれ目に…    
           

此処からは完全なゴルジュに入り、急峻な岩肌が左右に反そり立ち、鉄砲水でも来れば逃げ場の無い遡行が続く。
しかしこの上流には人工工作物は無く、よほど天気が崩れて集中豪雨的な雨でも降らない限り
大丈夫な事は確信している。

今日のような雲一つ無い空は絶好の源流釣行日よりだ。

この後兄貴も無事25p前後を釣り上げ、三君も4、5匹釣り、
僕も2、3匹と余り数は出ないが晩飯の分は何とか確保して、
ヘツリと泳ぎを交えての釣行は3時過ぎに目的の滝壺前のテン場に到着した。

           
 三君、ここでググッと狙って  お兄さん釣れますか? 急峻なゴルジュ帯
           
滝壺は明日の朝、釣る事にして今日は
『日頃お世話になっている兄の労を
ねぎらう会』なのだから…と
三君も僕もそして兄も意気投合。
後は誰が決めた訳でも無いが
役割分担が自然に決まり、
それぞれが動く。

 三君は火起こし名人、
僕は宴会場作り(岩を退けて腰かけと
テーブルになりそうな岩を設置するだけ)
と槇集め。
 

   
           
慣れない兄は一緒に槇集め。
全てが整った所で寝床のツェルトを二カ所に、
別々に張り


さぁ…カンパーイ


まだまだ日は高いが、山の中では沈みかければ直ぐ闇が訪れる。
延々と労いの宴は続くのだ。
ビール、ワイン、日本酒、骨酒、焼酎…
この至福の時を経験した者でなければ、
あのザックの重みに耐えて遡行する事などきっと出来ないだろう。
酔いもまわり呂律もおかしくなってきた頃には
暗闇が迫り熾の炎が浮き上がる。
見上げれば、
木々に囲まれた狭い空を雲が急速に流れている。
 
 至福の時の…
           
酒は〜心意気 ちょっと調達…目の前で これが無いとテン場は始まらない
           
確かここへ来るのは四度目だ。流石に独りで此処までは無い。全て三君と来ている。
以前の事で良く覚えているのは、深夜目が覚めてツェルトを抜け出すと、空が晴れていて…でも
雲が急速に流れていて…今にも雲が覆い被さり、朝になって、豪雨が降ってきたらどうしよう…
どうやって逃げれば良いのだろう?
 
そんな事を考えながら一夜を過ごした覚えがある。今晩はあの時のように雲の流れが速い。
でもあの時のように、明日の朝は快晴でありますように

2日目 (2008.7/20)

雨音に起こされた翌朝、空を見上げると雲が覆い尽くしている、が、雲の流れから多分直ぐに止むだろう、と確信し
二人を起こしに行くが全く起きる気配が無い。既に6時近くになり、早起きな岩魚の捕食の時間を逃してしまいそうだ。
抜け駆けする事に少し罪を感じながらも、既に竿を片手に滝壺に向かっていた。

何度も此処で尺近くを釣り上げている。しかし未だ尺は無い。

飛沫を上げて落ちる滝は20メートルはある。その対壺はとてつもなく深く大きい。到底落ち込みには届かない。
姿を見せないよう岩伝いにそおっと近づき、ミミズを付けて流芯から流れ出る瀬尻に落とす。
直ぐに手ごたえが竿を伝って体中に迸る。


ググッ!どんどん流芯へ引きずり込まれる…

体中でそれを受け止め右手に持った竿を立てる。他の岩魚に気づかれない様、右に寄せる。
穂先が折れんばかりに撓り、弧を描く。
少しの間この感触を楽しみ、頭を水面に出させた所で勝負は決まり、たもの中に納まった。
測ると尺を1p程超えた腹の太い上物だ。

このやり取りを繰り返し僅か20分程の間に5匹も釣れた。全て尺上だ。
こんな経験は初めてでまだまだ釣れるかも?と思ったが、抜け駆けしている事への罪を感じテン場に戻った。
まだ二人は起きて来て居ない。


起きて来ない方が悪いのだから…

そう自分を正当化すると、少し気は楽になり腹も減ってきたので、コーヒーを沸かして朝飯とした。

既に確信した通り雨も止んでいた。

崖を落ちる岩の音に驚くと大きなカモシカが駆け上がって行った

           
滝壺にはまだ大物がきっと居る     
           

やがて7時にもなろうかと云う時間に二人は起きて来て、滝壺での釣果を見せると早々に逸る気持ちを抑え切れずに竿を出していたが、
其々2〜3匹釣れた様だが、サイズは尺には至らなかった。

 
ゆっくり朝飯を終え、片付けが終わりテン場を離れたのは既に9時を回っていたが、帰るだけなので時間の心配は無かった。
帰りにはまた、泳ぎや、ヘツリがあり安心は出来ないが軽くなったザックが緊張感を和らげてくれる。
昨日の釣り上がりで釣れなかった場所も、一日経てばまた釣れる気がするのか、
皆、また竿を出しながらの帰釣行だ。
 

           
あっ!いる? 釣れる? やっぱり見向きもしないなぁ さっ!ちめてぇけど…泳ぐかぁ
           
           
楽しい時は直ぐ経ってしまいます
今回はそんな釣行でした

余り釣れなかったけど、
とても楽しい釣行でした。
『抜け駆けしてごめんなさい…』

 
最後まで諦め無いぞー この木なんの木?気になる樹

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